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なぜ世界はパンデミックに敗れたのか
―― 国際協調を阻んだナショナリズムと保護主義

ヤンゾン・ファン  米外交問題評議会シニアフェロー (グローバルヘルス担当)

Why the World Lost to the Pandemic
Politics and Security Fears Crippled the Collective Response

Yanzhong Huang 米外交問題評議会シニアフェロー(グローバルへルス担当)。シートン・ホール大学外交・国際関係大学院教授。フォーリン・アフェアーズでは、「コロナウイルスと陰謀論―― 感染症危機と米中対立」(2020年4月号)などを発表している。

2021年3月号掲載論文

「協調性のない、混沌とした国中心の反応」。これが、世界のCOVID19パンデミック対策の特徴だった。必要とされる「グローバルな危機へのグローバルな対応」からはかけ離れていた。国際協調体制がうまく築かれなかったことについて、世界保健機関(WHO)を非難する分析者もいる。しかし、最大の理由は、米中対立によって対応が政治化され、ナショナリスティックで保護主義的な対応がとられたことにある。米中間の緊張は、アウトブレイクに関する調査だけでなく、ウイルスの拡散を封じ込めるための協調行動をまとめるWHOの能力も抑え込んでしまった。必要なのは、パンデミックコントロールを、あらゆる国が貢献すべき「グローバルな公共財」として位置づけることだろう。

  • 何が協調を阻んだのか
  • 政治とウイルス
  • 安全保障の錯覚
  • グローバルな公共財

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